前回に続きまして、今回は成年後見人が就任したときのお話
認知症が発症し、医師の診断がおりると、ご本人を法的にサポートする「成年後見人」を家庭裁判所を選任してもらうことができます。
この「成年後見人」が選任されると、ご本人に代わって一定の契約ができるようになります。
なーんだ。だったら成年後見人になって不動産を売ればいいんじゃないか?
そう考えるのが普通です。
が、しかしそう簡単な話ではありません。
例えばご本人様が介護施設に入居されて、それまで住んでいた家(今は誰も住んでいない)を売却して施設の費用に充てたいとします。
しかしこういうケースでは「家庭裁判所の許可」がおりないと売却ができません。
家庭裁判所が、ご本人様が施設を退所して、元の住居に戻って住む可能性があると判断した場合は、売却の許可はおりません。
ちなみに、成年後見人に選任されると、原則、ご本人様が亡くなるまで成年後見人として、財産管理を行い、家庭裁判所に定期的に報告をしなければなりません。
親の介護費用を実家の売却費用から捻出しようと考えておられる方は多いです。
しかし、その対策を先延ばしにしてしてしまうと、思わぬ事態に困惑することも多いです。
なぜなら誰しも未経験だからです。
一生に一度か二度あるかないかではないでしょうか。
司法書士として成年後見業務に携わることが多い昨今、色々なことを考える日々です。