信託の「受託者」になれる法人の条件とは?営利目的の有無による違いを解説

「家族信託(民事信託)を検討しているけれど、受託者は個人ではなく会社(法人)でもいいの?」という疑問をお持ちの方は少なくありません。 結論から言うと、法人が受託者になることは可能です。しかし、どんな法人でも「自由に、何度も」受託できるわけではなく、法律上のルールが存在します。

今回は、信託の受託者になれる法人の種類や、注意すべき「信託業法」の壁について解説します。


1. 法人が受託者になることは可能

日本の信託法において、受託者に「個人でなければならない」という制限はありません。そのため、株式会社や一般社団法人などの法人が受託者になることは法的に認められています。

特に、家族信託においては、個人の受託者が高齢になったり先に亡くなったりするリスク(受託者の死亡による空白期間)を避けるため、永続性のある「法人」を受託者に選ぶケースが増えています。

2. 「営利目的」かどうかが大きな分かれ道

法人が受託者になる際、最も注意しなければならないのが**「信託業法」**という法律です。

① 銀行や信託会社(商事信託)

不特定多数の人から報酬を得て、仕事として(営業として)信託を引き受ける場合は、内閣総理大臣の免許や登録が必要です。これを「商事信託」と呼びます。

② 一般の会社や一般社団法人(民事信託・家族信託)

免許を持っていない一般の法人が受託者になる場合、以下のルールを守る必要があります。

  • 「反復継続」して受託しないこと
  • 「営利(報酬目的)」で引き受けないこと

もし、一般の法人が仕事として何度も報酬を得ながら受託者になると、無免許で信託業を営んでいるとみなされ、法律違反(無免許営業)となる恐れがあります。

3. よく活用される「受託者法人(家族信託法人)」とは

家族信託の現場では、あえて**「一般社団法人」**を設立し、そこを受託者にする手法がよく使われます。これを「家族信託法人」などと呼ぶこともあります。

【法人を受託者にするメリット】

  • 受託者の死亡リスクがない: 法人は人間のように亡くならないため、長期間の管理に向いています。
  • 倒産隔離機能: 受託者自身の財産と、信託財産が明確に区別されます。
  • 管理の透明性: 法人として帳簿を管理するため、親族間での納得感が得られやすい。

4. まとめ

法人が受託者になることは可能ですが、あくまで「特定の家族のため」といった非営利の枠組み(民事信託)である必要があります。ビジネスとして受託者になれるのは、免許を持った信託銀行などに限られます。

「自分の会社を受託者にしたい」「信託のために法人を新設したい」という場合は、信託業法に抵触しないよう、専門家(司法書士や弁護士)のアドバイスを受けるのが安心です。

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